ジェネレーションZの就職意識
代表取締役 河内信幸
§Z世代の特徴§
いわゆる「ジェネレーションZ」と呼ばれる世代が社会で働き始める時代となりました。このZ世代とは、一般的には、1990年代後半から2010年代序盤に生まれた世代を指すことが多い言葉ですが、明確な定義があるわけではありません。彼らは生まれたときからインターネットが普及しているデジタル・ネイティブの世代であり、テレビや雑誌よりもインターネットでの情報収集がメインで、SNSを活用したコミュニケーションや行動が中心となっています。
Z世代は、貧困や年金などの社会問題への関心が相対的に高く、民族・人種やLGBTQ(性的マイノリティ)など多様な価値観に触れる機会も多い年代です。その一方で、彼らは少子化による人口減少世代であるため、上の「X世代」「Y世代」(ミレニアル世代)のような厳しい競争を経験していません。
Z世代は、生まれた頃から低成長の時代が続いていた世代ですので、理想よりも現実を追い求める面があり、またコスト・パフォーマンス、タイム・パフォーマンスを重視する傾向が相対的に強いと言われています。彼らは、「集団」よりも「個人」を大切にする意識が強い世代ですが、まったくの「孤独」というよりも気心の知れた「仲間」を求める気持ちが強い年代でもあります。
管理職やリーダーの方々から、Z世代の若者とどのように接したらよいか悩ましいという声が上がっており、Z世代をネガティブに捉える見方も生まれています。よく先輩社員が後輩を「叱咤激励」すると言われますが、Z世代は仕事面で「叱咤」に弱く、いつも「激励」を期待している面があるとされています。いずれにしても、Z世代はインターネット、デジタル・デバイスの未来社会を担っていく世代であり、彼らの仕事や活躍の場をどのように広げていけるかは社会にとっても、会社・組織にとっても重要なテーマです。
(参考)<https://hatarakigai.info/library/column/20231020_1181.html>
§Z世代の就活意識§
日本最大の広告代理会社の電通は、2024年4月に「Z世代就活生 まるわかり調査2024」を実施しました。
<https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0415-010715.html>
それによると、就活生がエントリーする企業選びで重視するのは、1位が「給料がいい」(46.7%)、2位が「自分の夢ややりたいことに近い業界」(36.4%)、3位が「業績が安定している」 (36.3%)という結果になりました。この結果から、学生の皆さんは給料が良くて、やりたいことができる安定した仕事を希望していることが分かります。
また、就活生の皆さんの66%強が「出社中心」の働き方を希望しており、「手取り足取り教えてほしい」という回答が78%を超えました。これは、コロナの蔓延もあってリモート・ワークが広がったものの、現在も対話やコミュニケーションを大切にする学生さんが多いことを物語っています。しかも就活生の皆さんは、入社後に細やかな研修や教育を希望していることも明らかになりました。入社後、リモート・ワークばかりでは孤独な生活になってしまうという心配が垣間見えます。
しかも、「入社後の勤務場所・エリアを確約してほしい」(「とてもそう思う」「まあそう思う」)という回答が合計88.8%にも上ったことから、「入社後の職種・配属先を確約してほしい」という希望が顕著であることも分かりました。就活生の皆さんは、入社後に希望する勤務地や職種に配属されるかどうかを心配しており、「配属ガチャ」の混乱状況になることを懸念しています。つまり、学生さんは、想定外の職種や部署に配属されたくないという気持ちを強く持っています。
さらに、就職先を決定する際に、「親・家族・親戚」からの影響が大きいとの回答が30.9%にも上りました。これは、就職を決める際に、一番近い家族や親戚の影響が大きいことを如実に表しており、Z世代の家族観と職業意識が繋がっていることを示しています。それは彼らが少子化時代の生まれであるからであり、採用企業は保護者世代からの信頼を得ることにも配慮しなければなりません。
(2024年7月20日)